【ニュース】 和歌山電鐵とヤマト運輸、貴志川線で「客貨混載」を2月16日より開始、「クロネコヤマト」と「たま駅長」がタッグ 和歌山県和歌山市

2018.02.06
両備ホールディングス傘下の和歌山電鐵株式会社(和歌山県和歌山市、小嶋光信社長)とヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社(東京都中央区、長尾裕社長)は、和歌山電鐵貴志川線「田中口」駅~「神前」駅間の電車で宅急便を輸送する「客貨混載」を2月16日より開始する。
ローカル電車の路線網維持と、物流の効率化による地域住民の生活サービス向上が目的。

和歌山電鐵は、ネコの「たま駅長」で知られており、乗って楽しい電車を目指した車両の改装やイベント実施を行ってきた。
「鉄道自らが観光資源」となり、観光客の誘致を行うなど、路線の維持や地域活性化に取り組んでいる。

一方ヤマト運輸は、全国の自治体や企業と連携し、サービスの向上とともに地域の活性化や課題解決を図る「プロジェクトG(Government)」を推進。
路線バスによる「客貨混載」を全国各地で実施している。

20180206ヤマト運輸

今回両社が取り組む「客貨混載」は、物流総合効率化法(物効法)改正後、宅配便の個別配送の一部を担うものとしては国内初となる事例。

同取り組みにより、これまでヤマト運輸が宅急便センターから神前地域にトラックで輸送・配達していた宅急便を、貴志川線を利用して輸送し、リヤカー付き電動自転車で配達する。
ヤマト運輸の社員2名が、和歌山太田センターで荷物を集配コンテナに積み込み、田中口駅へ出向き、集配コンテナを電車に固定し、社員も電車に乗り込み7時15分に出発。
神前駅到着後は神前地域に向かい、集配コンテナと自転車をドッキングし、リヤカー付き電動自転車で集配を開始する。

沿線住民は、貴志川線の路線網が維持されることで、通学や通院など生活基盤の維持・向上につながるほか、神前地区での配達開始時刻が3時間早まるため、在宅時に荷物を受け取りやすくなるメリットがあるという。

一方、和歌山電鐵は、電車の空きスペースで宅急便を輸送することで新たな収入源を確保できる。

またヤマト運輸も、住宅が密集する神前地区でリヤカー付き電動自転車を利用することにより、安全性が高まるとともに集配効率が上がるほか、配達開始時間がこれまでの11時から8時に繰り上がるため、サービス品質の向上と再配達削減による労働環境の改善が見込まれる。
トラックの走行距離が削減されるため、燃料費やCO2排出量の削減にもつながるという。

今後は、貴志川線の各駅にオープン型ロッカー「PUDOステーション」を設置し、手荷物預かりや手荷物配送サービスの提供、県産品の販路拡大に向けた活用も検討。
さらなる利便性向上や観光振興にも取り組むとしている。