【ニュース】 芝浦工業大学、熊本県甲佐町の災害公営住宅と子育て支援住宅を設計、岡野特任准教授・山代特任教授の整備計画案が採用に 熊本県甲佐町
2017.08.02
芝浦工業大学(東京都港区、村上雅人学長)はこのほど、同大学建築学部建築学科の岡野道子特任准教授(岡野道子建築設計事務所)と山代悟特任教授(ビルディングランドスケープ)が、熊本県上益城郡の「甲佐町住まいの復興拠点施設整備設計」に係る設計者選定の公募型プロポーザルで最優秀者に選ばれ、2人の提案が採用されたと発表した。
災害公営住宅は2018年8月、子育て支援住宅は2019年10月竣工予定。
同事業は、2016年4月14日に発生した熊本地震で甚大な被害を受けた甲佐町が、町民が一刻も早く安全・安心に暮らすことができる環境づくりを第一優先課題と捉え、災害公営住宅や子育て支援住宅、都市防災公園を一体的に整備するため、「くまもとアートポリス」の参加事業として実施したもの。
「くまもとアートポリス」は、後世に残る文化的資産の創造と地域の活性化を目指した事業で、熊本県が1988年から開始している。
2人の提案は、甲佐町の環境をデザインすることを大きなテーマに構成されている点などが評価され、応募総数24件の中から一次審査、公開審査(二次審査)を経て採択された。
提案のポイントは、自然と建築が一体となった熊本型の災害公営住宅である点と、環境に呼応するまちの軸をつくり多世代間の交流の場を産み出す点。
前者の点では、一年を通じ豊かな日照と穏やかな卓越風に包まれる同町の環境を活かすため、南南東の風の流れに沿った遊歩道や、住戸には西風を効果的に取り込む「ウィンドキャッチャー」となる壁を設定。
高木や庇、住戸間の十分な距離によって季節・時間ごとに安定した自然光を取り込める設計としたほか、半屋外的な土間や住戸間に設置する「小さな憩いの場」など、内外一体的な設計によって住民同士の自然な交流を促進するという。
後者の点では、特徴的な風の流れに沿ったメインの遊歩道が集会施設や都市防災公園といった交流の場をつなぎ、公園を囲むように災害公営住宅と子育て支援住宅を配置することで、多世代が普段から集会施設や公園に立ち寄りやすい環境を形成。
復興地では、各住戸に引きこもって孤立しやすい現状があるため、「みんなでつくる」「みんながつかう」交流拠点の重要性を感じ、コミュニティスペースを中心とした設計を行った。
今後、実施設計、工事監理も含め、県内の建築士事務所とともに
2019年竣工に向け引き続き取り組んでいく予定。
また岡野道子特任准教授は8月20日~24日に、災害復興や地域再生などに取り組む建築学部APコースの学生とともに熊本県に滞在し、建築学部のPBL授業の一環として、2016年12月に設計した益城町の「みんなの家」で地域住民や地元の学生らと家具などをつくる合同ワークショップを開催予定。
今後、同町の災害公営住宅や子育て支援住宅でも同様に、植樹やベンチ作りなどのイベント・ワークショップを開催し、これらを通して地域に根付いた拠点となることを目指すとしている。
計画条件など災害公営住宅の計画地は熊本県上益城郡甲佐町豊内
718番地1他。
敷地面積は約1万2,800㎡。
施設規模は災害公営住宅(30戸)、子育て支援住宅(20戸)、都市防災公園(3,000㎡)。
工事期間は2018年3月~2019年10月(造成を除く)。