【ニュース】 住友林業、丸太を活用した軟弱地盤対策工法の第1号物件を着工、木の炭素固定機能に注目した「地中に森をつくる」工法を始動 東京都千代田区

2023.09.11
住友林業株式会社(東京都千代田区、光吉敏郎社長)は2023年8月、丸太を活用した軟弱地盤対策工法の第1号物件を着工した。

同工法は、軟弱地盤に丸太を圧入し、地盤と丸太の双方で構造物を支えるほか、木は光合成で大気中のCO2を吸収し、炭素として留め置き、伐採し丸太になっても炭素を固定し続けることから、木の炭素固定機能に注目した「地中に森をつくる」工法だという。

なお同工法は、同社・飛島建設株式会社(東京都港区、乘京正弘社長)・ミサワホーム株式会社(東京都新宿区、作尾徹也社長)の3社が共同で開発したもので、2020年1月に一般財団法人日本建築センターより評定を取得している。
第1号物件を皮切りに、環境配慮型の地盤対策工法として戸建て住宅や集合住宅、非住宅建築物へ幅広く展開する予定。

東京都内で着工した第1号物件の建築地は、地下水位が高く、砂質土がゆるく堆積していた場所。
液状化対策として同工法を採用し、約160本の国産カラマツを使用した。
林野庁のガイドラインをもとに試算した炭素固定量は約7t(CO2ベース)で、これは40年生のスギ23本分の炭素固定量に相当するとしている。

同工法では、丸太は頭部を地下水位より深く設置し、腐朽や蟻害による生物劣化を防止。
圧入した丸太頭部を特殊な粘土で覆い、地下水位の増減による影響を回避し、丸太頭部から基礎までを充填材(砕石)で締固め、埋戻す。

設計面では、もとの地盤のかたさに応じた合理的な設計が可能で、丸太の本数を増やして密に配置すると液状化対策にもつながるという。

施工面では、低振動・低騒音で建設残土が発生しにくく、セメント系固化材を使用した工法などと比較して現場での飛散が無いほか、養生期間も不要で丸太打設後すぐに次工程に入れるなどのメリットがあるとしている。

価格も他の地盤補強工法と同等だという。

今後は、戸建て住宅や集合住宅に加え、事務所、幼稚園、高齢者施設、集会所、店舗、工場、倉庫などの非住宅物件への適用も想定。
戸建て住宅での採用棟数は年間200棟程度を目指すとしている。