【ニュース】 和歌山県立近代美術館、建築家・黒川紀章氏の代表作「中銀カプセルタワービル」のカプセル「A908」を展示 和歌山県和歌山市

2023.08.30
和歌山県立近代美術館(和歌山県和歌山市、山野英嗣館長)は、中銀(なかぎん)カプセルタワービルのカプセル「A908」を展示する。

中銀カプセルタワービルは、1972年に竣工した、建築家・黒川紀章氏の代表作のひとつ。
建物は約10㎡のスペースに人間が生活する最小限の機能を詰め込んだ「カプセル」140個で構成され、カプセルを取り外して移動させたり交換したりすることで新陳代謝する建築物という、ユニークな思想が体現されている。

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しかしカプセルは一度も交換されることがないまま、50年を経て
2022年、老朽化に新型コロナウイルスのパンデミックが追い打ちとなり、惜しまれつつも解体。
その後、オーナーと住人を中心メンバーとする「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」により23個が救出され、黒川紀章建築都市設計事務所監修のもと、保存再生が行われている。
このうち、できるだけオリジナルに近い形に再生される展示用が
14個、その他の活用が可能なスケルトンタイプが9個で、同美術館には2023年8月24日、展示用「A908」が到着した。
日本の美術館としては初めて、黒川氏設計の美術館としては唯一の展示となる。

なお、黒川氏は、1970年代の「メタボリズム」から「共生」へとその思想を展開させた。
同美術館も1994年に竣工した黒川紀章氏の作品・「和歌山県立近代美術館・博物館」であり、和歌山城と対峙する緑豊かなロケーションを活かし、歴史や自然との「共生」を体現しているという。

当面は敷地内に展示したカプセルの外観を鑑賞するのみとなるが、今後はあらためて内部公開の機会も設ける予定だとしている。

和歌山県立近代美術館の所在地は和歌山県和歌山市吹上1-4-14。