【ニュース】 地域・教育魅力化プラットフォームなど、高校魅力化が市町村の人口・経済へ与える影響を調査、高校魅力化により総人口は5%超増加 島根県松江市

2019.11.25
学校を核に地方創生を支援する一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム(島根県松江市、水谷智之代表理事)は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(東京都港区、村林聡社長)と共同で、地域と連携した高校教育改革(高校魅力化)の効果を「見える化」する調査を実施、このほど2017年度より2年半かけて実施した地域(市町村)の人口・経済への影響を明らかにする2つの調査結果を発表した。

両者は同時に、各高校・地域での取り組みによる生徒の成長や土壌(教育環境)を評価する「高校魅力化評価システム」の開発も実施。
同システムは、文部科学省2019年度「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」で、指定校が取り組みを評価するツールとして導入しており、2020年度以降は都道府県単位等での導入が可能になるという。

「高校の存続・統廃合が地域社会に及ぼす影響の一考察」では、全国の市町村の人口動態と高校統廃合の関係性について、過去に高校統廃合がなされた市町村と、高校統廃合がなされなかった市町村との比較により、考察を試みた。
同考察によると、1990~2019年の約30年間で、1市町村に1つの公立高校が存在していた市町村の約2割で公立高校が消滅。
統廃合によって高校が消滅した市町村では、6年間で総人口の1%相当が転出超過となった。

一方、魅力ある高校づくりを全国に先駆けて行ってきた島根県の高等学校を事例として、高校魅力化の社会・経済的効果の推計を実施。
同推計によると、高校魅力化により地域の総人口は5%超増加
(2017年)、高校魅力化により地域の消費額は3億円程度増加
(2017年)し、歳入も1億5,000万円程度の増加(同)となった。
高校魅力化に伴う町村の財政負担を加味しても、3,000~4,000万円程度のプラス効果(高校魅力化に伴う町村の負担額の約1.8倍の歳入増加)があったとしている。

また、両者が開発した「高校魅力化評価システム」を使用し実施した島根県内の高校魅力化実践校(魅力化校)の生徒を全国調査での高校生の意識と比較すると、「先生、保護者以外に、地域に気軽に話せる大人がいる」が+29.3%、「将来、自分の住んでいる地域のために役に立ちたいという気持ちがある」が+28.6%、「難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦している」が+27.2%、「地域をよりよくするため、地域における問題に関わりたい」が
+25.3%といった結果が得られたという。