【編集部取材】 豊岡市とバス事業者など、官民協働でDMOを設立、マーケティング情報を共有しインバウンド戦略を推進 兵庫県豊岡市 

2016.02.22
豊岡市(中貝宗治市長)・全但バス株式会社(兵庫県養父市、桐山徹郎社長)・WILLER ALLIANCE株式会社(東京都新宿区、村瀨茂高代表)は2月19日、官民協働で豊岡版DMO(Destination Marketing/Management Organization)を設立、インバウンド戦略を策定し、地域一体で遂行すると発表した。

新たに設立する組織は一般社団法人で、当面の事業所は豊岡市庁舎内に置く予定。
今後は、3月に豊岡市が設立関連予算を議会に提出、4月に法人設立手続き、5月に旅行業取得手続きを行い、その後設立総会を開催する予定としている。

なお、WILLER ALLIANCEは同日の記者発表で、DMOの受け皿となる地域商社・WILLER CORPORATION株式会社(兵庫県豊岡市、村瀨茂高代表)を3月に設立することを合わせて発表した。
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同DMOへの基本拠出額は2,875万円。
このうち2,000万円は豊岡市が拠出、他はWILLER CORPORATION・全但バス・但馬銀行・但馬信用金庫が拠出する。

代表者は豊岡市長とし、専務理事は大手商社より派遣する予定(現在調整中)。
スタッフは専務理事を含め9名とし、WILLER CORPORATION、全但バス・ジェイティービー・但馬銀行・豊岡市より派遣する。

遂行する事業は、地域マーケティング戦略の推進と、収益事業の2本立てで行う。
地域マーケティング戦略では、情報を継続的な収集・分析・共有し、戦略の策定・推進を行うほか、地域事業者の発掘・ネットワーク化による着地型観光の創出、事業者へのマーケティング支援などを実施。
収益事業では、宿泊予約サイトの運営、着地型ツアーの企画・販売、豊岡ブランド商品の販売など予定している。
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豊岡市を代表する観光地・城崎温泉では2015年、外国人宿泊客が対前年比2.27倍の3万1,000人に達した。
今回設立する同DMOでは、2020年までに外国人宿泊客を年間10万人に増やす目標を掲げ、地域の稼ぐ力を引き出し、高めるとしている。

そこで大きな鍵となるのが、地域マーケティング戦略の出発点となるマーケティング情報だ。
同DMOでは、携帯電話やWiFiなどから外国人観光客の行動履歴などのデータを入手し、分析・共有するほか、地域バス事業者である全但バスと、全国で高速バスを運行するWILLER ALLIANCEが持つ情報も共有するという。

とくにWILLER ALLIANCEは、運輸事業とITマーケティング事業を両輪で進めており、年間270万人(このうちインバウンドは15万人)が利用する高速バスと、同社グループのWILLER TRAINSが運営し、豊岡市にも路線がある京都丹後鉄道の「人の移動データ」に基づくマーケティングに強みを有している。
さらに3月に設立する地域商社・WILLER CORPORATIONでは、販売データに基づくマーケティングやコンサルティングを展開、旅行商品の販売だけでなく、地域産品の海外輸出なども手掛けるという。

官民協働による豊岡版DMOは、地方創生の新しい仕組みとして、全国的に注目されるところだろう。