【編集部取材】 「農家体験民宿 半兵衛」、比較住宅都市研究会で民宿立ち上げまでの経緯と現況や今後の展望などについて発表 茨城県龍ケ崎市

2015.07.21
「農家体験民宿 半兵衛」(茨城県龍ケ崎市)の共同経営者・本谷英基氏は7月17日、東京都渋谷区の八雲クラブで開催された比較住宅都市研究会(主宰:海老塚良吉氏)で、同民宿の立ち上げまでの経緯、現況や今後の展望などについて発表を行った。

同民宿は、「農家の役に立ちたい」との思いから2011年にオープンしたもの。
運営メンバーは本谷氏を含め、60代~70代の6名で、地元の小学校・中学校の同窓生だという。

空き家となっていた農家「半兵衛」(屋号)の所有者から、自家の畑で野菜づくりなどを行っていたメンバーに声がかかったのは2008年のこと。
「地域のために何かやれないか」と考えぬいた結果、辿り着いたのが「農業体験民宿」だった。
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その後、大工や造園家などを含むメンバーで空き家「半兵衛」のリフォームを開始。
手作りに徹し、ほぼ材料費だけで改修ができたものの、細かい部分で民宿の許可取得は難航、オープンは2011年までずれ込んだ。

オープン後は、「農業体験ができる民宿」として、味噌作りや豆腐作り、こんにゃく作りなどを実施。
東京から会員を集めたが、会員数は増えず、味噌作り以外は現在、中止している。

一方、近隣の耕作放棄地(220アール)を借りて野菜作りも開始。
ジャガイモ・サツマイモ・大豆・ネギ・ナス・カボチャ・ピーマンなどを作ってきたが、現在は生育途中でも管理が少ないジャガイモ・サツマイモ・サトイモなど根菜類のみを作っているという。

「開店休業」に近い状態に変化が訪れたのは、2015年に入ってからだった。
「龍ケ崎グリーンツーリズム推進協議準備会」が同民宿に注目、裏山を掃除するボランティアスタッフが現れたほか、モンゴル人の数家族が滞在する宿としての利用もみられるようになった。
生産者の高齢化により続けられなくなったブドウ(巨峰)園の管理なども引き受けているという。

なお運営グループでは、同民宿のオープンに先立ち、定食屋「つくばの里」を2010年にオープンしている。

17日の研究会では、事業としての方向性が定まっていないのでは?といった指摘もあったが、運営グループでは、あくまでも「農家の役に立ちたい」との思いには変わりが無いという。

今後は、当初の「思い」を堅持しつつ、様々な関連団体や人々との「融合」により、新たなアイディアをどのように昇華させていくのか、注目されるところだろう。

「農業体験民宿 半兵衛」の所在地は茨城県龍ケ崎市板橋町1705、
交通は圏央道「稲敷」ICより約25分、「阿見東」ICより約30分など。
利用料金は1泊2食付きで1人6,000円。