【ニュース】 山梨県、「富士山登山鉄道構想事業化検討に係る中間報告資料」を公式サイトで発表、上下分離方式で同県・民間とも黒字想定 山梨県甲府市
2024.10.29
山梨県(長崎幸太郎知事)は2024年10月28日、「富士山登山鉄道構想事業化検討に係る中間報告資料」を同県公式サイトで発表した。
同報告書は、富士山登山鉄道構想の現状、事業化に関する方向性、技術的課題、総合的な事業化について説明したもの。
同年9月20日に公表した「富士山登山鉄道官民連携方策検討調査」の概略に、技術課題の検討を加えた内容となっている。
同資料によると、事業化については、鉄道・駅舎は県が、車両・付帯設備は民間が整備所有し、民間が独立採算で運営する「上下分離-B」が官民のリスク分担として最もバランスが取れていることが分かった。
この方式では、40年間の運用で年間利用者数300万人・設備投資額合計1,486億円と想定、同県も民間も採算がとれ、利用者が50
%減少したり、設備投資額が50%増えたりした場合でも黒字を維持できるとしている。
鉄道・周辺事業一体での経済波及効果は、40年間運用で累計1兆
5,600億円、延べ12万273人の雇用効果を見込む。
LRT導入に関する複数の技術的課題のうち、勾配への対応では、富士スバルラインの勾配に対し、晴天時は発進・加速・定速走行に必要な粘着係数(車輪とレールの粘着度を表す)は確保可能で、雨天時に勾配40%以上での加速で車輪が空転する可能性があるが、増粘着剤散布装置の導入等によって解決できるとしている。
曲線と勾配の競合個所への対応では、急勾配に対応するために粘着係数を高めると、急カーブで乗り上がり脱線を引き起こす可能性があるが、脱線防止ガード(内軌=カーブの内側)と外軌ゲージコーナ潤滑(レールゲージコーナとフランジ直摩抑制)を施すことで解決可能。
架線レス方式の検討では、ブレーキシステムについては、回生ブレーキ・機械ブレーキなど複数のシステムを組み合わせて安全を確保
、車両タイプについては低床型ではなく、床下に各種機器が積載される「普通型」が適しているとしている。
単線・複線における輸送力の比較では、複線軌道の方が適していることが分かったという。