【ニュース】 金沢工業大学と鹿島建設、建設分野向けのセメント系3Dプリンティングと、CO2を材料として固まるコンクリートの技術を組み合わせたベンチを製作、金沢市内の公園に設置 石川県金沢市

2024.03.27
学校法人金沢工業大学(石川県野々市市、泉屋吉郎理事長)と鹿島建設株式会社(東京都港区、天野裕正社長)はこのほど、両者による研究開発の一環として行っている公共物製作プロジェクトの成果としてベンチを製作、金沢市内の公園(外濠公園二号地)に設置した。

両者は、建設分野向けのセメント系3Dプリンティングと、CO2を材料として固まるコンクリート「CO2-SUICOM®」の技術を組み合わせた「カーボンネガティブ3Dプリンティング」に関する研究開発を共同で進めており、今回製作した同ベンチは同技術を活用したもの。

同プロジェクトにより、構造物の生産性向上に資する設計から製造に至るすべてのプロセスのデジタル化、景観に馴染む意匠を表現するための複雑な形状の実現について実証することができたという。
また、3DプリンティングとCO2-SUICOM®の融合により、セメント系造形物として、効率的なCO2の吸収・固定化を達成するとしている。

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3Dプリンティングの技術は、従来の型枠を使用した施工方法では実現が困難な造形を可能にするものとして建設分野でも注目を集めており、研究開発が進んでいるという。

CO2-SUICOM®は、外部からCO2を強制的に供給することで部材の表面からCO2を吸収して固まるため、CO2を効率的に吸収・固定化させるために、CO2との接触面積を増やすことが有効とされている。
今回製作したベンチは、3Dプリンタの造形技術でベンチ脚部をヒダ形状にすることで、空隙がないベンチと比べ表面積を約1.7倍に増大、CO2吸収割合を2倍以上にまで向上させたという。

意匠については、金沢市内の公園という公共の場に設置するため、市民や観光客に受け入れられるデザインを目指し、金沢にゆかりのある加賀友禅の製作工程「友禅流し」をモチーフとした。

製作にあたっては、同大学の「KIT×KAJIMA 3D Printing Lab」に設置したロボットアーム式の3Dプリンタを使用。
土木、建築、機械分野等の研究室の教員、学生も多数参画し、鹿島の技術者と一体で研究を進める体制を構築した。
これにより、3Dプリンタの機械的な制御や意匠性、構造成立性、ベンチとしての安全性やCO2の吸収効率までを考慮したデザイン
、プリンティングする材料など、多岐にわたる検討が可能になったという。