【ニュース】 飛驒産業、奥飛騨温泉の温泉熱を利用した木材乾燥室完備の「奥飛騨 栃尾工場」を新設 岐阜県高山市

2023.10.27
飛驒産業株式会社(岐阜県高山市、岡田明子代表)はこのほど、奥飛騨温泉の温泉熱を利用した木材乾燥室完備の「奥飛騨 栃尾工場
」(岐阜県高山市)を新設した。
同設備を導入することで、国産広葉樹の乾燥時間を大幅に短縮し、国産広葉樹の利用拡大を推進する。

岐阜県の奥飛騨温泉郷は、豊富な温泉熱を有するものの、過疎地域のため温泉利用の低下が懸念されているという。
また、飛騨地域は、日本を代表する木製家具の産地で、1970年代までは地域の豊富な広葉樹資源を活用することで発展してきたが、国産材が枯渇し、原材料の多くを輸入木材に依存してきた。
しかし近年、国の政策の後押しもあって国産材の活用を推進する動きが広がり、枯渇したと思われていた国産広葉樹が山林に蓄積されていることが判明。
しかし、国産広葉樹の流通が一度途切れてしまったことから、川下である家具メーカに届いていない現状があるという。

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こうした中、同社では今回、国産材の流れを取り戻すため、乾燥を目的とした温泉熱利用の木材乾燥設備を導入。
温泉熱を利用することにより、従来の化石燃料を使用した乾燥に比較し、年間で灯油の使用量が67万8,591リットルの削減となり、二酸化炭素に換算すると1,689t-CO2の削減になるという(同社試算)。

導入設備で乾燥させるのは、周辺地域の資源でもある国内産の広葉樹材。
温泉熱を熱源とする乾燥室を15室作り、個別の温度設定をしながら4~6週間乾燥させる。
今回、同社が開発した乾燥方法では、乾燥にかかる期間を大幅に短縮、木材の含水率を高度な水準(8%程度)まで下げることができるという。

建設地は小学校の跡地。
建物は一般住宅レベルの基礎の木造建設のため、建設時の環境への影響は極めて限定的で、温泉熱の利用に際しては、自然温泉の湯から熱交換して熱源を得るのみで湯には何も加えず川へ放流するため、水質汚染等の懸念も無く、近隣住民にも説明会を開催、理解を得ているとしている。

国産材の製材と乾燥設備運営のため、上宝・栃尾地区より3名を新規雇用した。

なお同事業は「令和4年度森林・林業対策事業」として岐阜県より認定されており、資金の一部は北陸銀行の「グリーンローン」を活用し、調達している。

「奥飛騨 栃尾工場」の所在地は岐阜県高山市奥飛騨温泉郷栃尾
439-18-1・458-2-1。
敷地面積は1,360㎡。
乾燥装置は木造90㎡×3棟(270㎡)、ストックヤードは鉄骨造(120㎡)。
着工は2023年4月、竣工は2023年10月。
生産能力は年間1,000㎥(製材品)。