【ニュース】 九州大学・三井不動産・日鉄興和不動産の3者、「持続可能性に資する未来型の高度産業集積に関する共同研究」を開始 福岡県福岡市

2023.04.26
国立大学法人九州大学(福岡市西区、石橋達朗総長)・三井不動産株式会社(東京都中央区、植田俊社長)・日鉄興和不動産株式会社(東京都港区、三輪正浩社長)の3者は、「持続可能性に資する未来型の高度産業集積に関する共同研究」を開始した。

地政学リスクへの対応を踏まえたグローバルサプライチェーンの見直しが進む中、国内ではとりわけ半導体産業やその周辺製造業への戦略的な投資が加速。
国内での新たな大規模工場の建設には、地域への経済的なインパクトだけでなく、持続可能な地域全体の活性化につながる街づくりの視点が求められるという。

3者は今回、こうした社会情勢を見据え、持続可能性と経済合理性のバランスのとれた製造業を中心とした産業集積を想定し、その実現を目指し、共同研究を開始したとしている。

同研究では、2010年より国連で採用されているIWI(新国富指標:Inclusive Wealth Index)に着目し、九州をフィールドとして半導体産業の集積が起こる影響を定量化。
具体的には、半導体製造業や半導体装置産業といった半導体関連産業に加え、半導体を最終製品として扱う製造業や、それらの製造業に人材を供給する教育機関、物流施設や生活利便施設などの周辺産業も含めた広範な影響が、空間的にどのように波及していくかについて可視化することを目指す。

製造現場・研究現場・教育現場の連携に一層のスピード感が必要となっている製造現場のニーズに応える、産学連携を具現化した街づくりを想定。

今回の同研究を通じ、製造業や物流業の集積、それに伴う生活利便施設や住居エリアの再構築に関する知見を得ることで、将来にわたって有効な土地利用転換をはかるためのノウハウを指標化、産業再生や地方創生に寄与できるとしている。

今後は、3者が共同し、2030年頃を想定した産業集積のシナリオについて検討、同大学でそのシナリオの影響結果をIWIとして計算する。
計算結果をもとに、3者でシナリオを検証、具体的な開発候補地の選定について、三井不動産と日鉄興和不動産で具体化することを想定しているという。

なお、同研究は、九州大学都市研究センターの馬奈木教授が中核となって進める。
同教授は、九州地方を中心とした複数の地方行政とIWIを使用した実践に取り組んでおり、また、AIを使用した個別の製品・サービスのESG評価を行う手法を開発、既に複数企業の事業改革も実践しているという。