【ニュース】 熊谷組と住友林業、「KS木質座屈拘束ブレース」に国産材を含む2樹種を追加、ロシア産のダフリカカラマツの入手困難に対応 東京都新宿区

2023.04.11
株式会社熊谷組(東京都新宿区、櫻野泰則社長)と住友林業株式会社(東京都千代田区、光吉敏郎社長)は、昨年共同で開発した
「KS木質座屈拘束ブレース」に国産材を含む2樹種を追加、新たに構造性能評価を取得した。
ロシア産のダフリカカラマツが入手困難となったことから、東京電機大学(東京都足立区、射場本忠彦学長)の協力も得て、3者で国産カラマツとラジアータパインを利用可能にしたという。

「KS木質座屈拘束ブレース」は、木質材料によって鋼材を拘束することで、安定的な変形性能を発揮する鋼製ブレース。
熊谷組が得意とする中高層建物の耐震構造技術と、住友林業の木質系材料に関する豊富な知見・技術を融合して開発した。

今回参画した同大学は木質座屈拘束ブレースの耐力をさらに高め、より大規模な建物への適用、設計時の自由度向上への対応も視野に、学術的な観点での知見提供を担当。
国産カラマツも活用可能とすることで、国内林業の活性化、サステナブル社会の実現に貢献するとしている。

「KS木質座屈拘束ブレース」の座屈拘束材には、密度が大きく強度も高いダフリカカラマツLVL(Laminated Veneer Lumber、単板積層材:単板の繊維方向を平行にして積層・接着して造る木材加工製品)と国産の針葉樹合板を使用。
国際情勢の変化や国産材利用促進の機運の高まりもあり、開発チームに同大学の笹谷研究室(未来科学部建築学科)を迎え入れ、樹種の活用研究を進めた。
実大構造実験を繰り返し実施し、今回、LVLに使用する樹種拡大に成功し、実用化を実現したという。

熊谷組と住友林業は、脱炭素社会の実現に向け、建物の木造化・木質化を目指し、特に中大規模木造建築の受注拡大のため、木質部材に関連する研究や技術開発に力を入れている。

今回の同取り組みでは、熊谷組は仕様提案、シミュレーションによる性能評価、構造実験、住友林業は木材に関する知見の提供、仕様提案・試作、構造実験、東京電機大学は部材構成、実験方法、解析方法のアドバイスを分担。

今後は、同部材の社会実装に向け、まずは自社の案件等での適用を積極的に検討。
利用樹種の拡大により、利便性を高めた同部材を、オフィス、商業施設、集合住宅、宿泊施設や生産・物流施設などの様々な鉄骨造建物に加え、中大規模木造建築にもさらに積極的に導入していく予定としている。