【ニュース】 東急不動産と鹿島建設、歴史的建造物「九段会館」の一部保存・建替え事業に着手、「帝冠様式」の建物を保存活用 東京都千代田区
2018.03.09
東急不動産株式会社(東京都港区、大隈郁仁社長)と鹿島建設株式会社(東京都港区、押味至一社長)が出資する合同会社ノーヴェグランデは、東京都千代田区九段南一丁目に所在する九段会館および同敷地について、3月1日に国との間で合意書を締結、70年間の定期借地による九段会館の一部保存・建替え事業に着手したと発表した。
九段会館は1934年(昭和9年)に完成し、昭和初期の時代性を表現している希少な建築物。
「帝冠様式」と呼ばれる外観的特徴を備え、永く九段下の景観を形成してきた。
同プロジェクトでは、九段会館の一部を、真正性を追求しながら保存しつつ、保存部分以外ではオフィスを中心とした高度利用を一体的に図る。
変わりゆく時代の中で九段会館に新たな価値を与えつつ、歴史と自然が息づくまちづくりを実現していくという。
同事業では、九段会館のコンクリート造の建物で、瓦葺きの勾配屋根を塔屋とパラペットに冠する「帝冠様式」の特徴をよく表す建物北側と東側部分をL字状に保存して活用。
保存部分は免震レトロフィット工法の採用、中性化により劣化したコンクリートの補修対策の実施、外壁のスクラッチタイルの落下防止対策の実施等により、創建時の姿を復原・保存する。
保存部分は、創建時の意匠を復原・保存しながら、宴会場・カンファレンスセンター・シェアオフィス・店舗などとして活用する計画で、また新築する高層部分は主にオフィスと店舗を予定。
また、敷地西側の牛ヶ淵沿いには歩行者デッキを計画、親水性の高い空間を整備する。
歩行者デッキに面して店舗等を計画し、賑わいを創出するとともに、牛ヶ淵の自然を感じながら憩い安らげる空間を目指す。
あわせて、敷地南側にも内堀通りとつながる歩行者空間を整備し、お濠端とつながる回遊性を高め、歩行者ネットワークを創出するとしている。
さらに、敷地北側部分にはオープンスペースを確保し、九段会館のメインエントランスの正面性を高めるとともに、シンボルツリーの保存やイベントにも利用できる芝生広場の計画により、九段下エリアを訪れる人々が憩い安らげる空間として整備するという。
九段会館の一部保存・建替え事業の所在地は東京都千代田区九段南一丁目5番1外。
敷地面積は約8,765㎡、延床面積は約6万8,024㎡。
階数は地下3階地上17階、高さは約74.9m。
用途は事務所、店舗、駐車場等。
竣工予定は2022年7月。