【ニュース】 ソラーレホテルズアンドリゾーツ、旧奈良監獄の保存・活用事業で優先交渉権を獲得、重要文化財の刑務所を史料館・宿泊・商業施設へ再生 奈良県奈良市

2017.05.30
ソラーレホテルズアンドリゾーツ株式会社(東京都港区、井上理社長)を代表企業とするグループは5月29日、奈良少年刑務所(旧奈良監獄、奈良県奈良市)の保存・活用を目的としたコンセッション事業「旧奈良監獄の保存及び活用に係る公共施設等運営事業」で、優先交渉権を獲得したと発表した。

同刑務所は、奈良監獄として1908年に完成し、1946年より少年刑務所となり、更生教育を重視する矯正施設として機能。
明治政府により建設された5大監獄の1つで、ほぼ当時のままの姿で現存する唯一の刑務所だったが、今年3月末をもって109年の歴史に幕を閉じた。
10万6,000㎡の広大な敷地に、監獄の近代化を示す煉瓦作りの重厚な建物を有することから、2016年には国の重要文化財に指定されている。

法務省では、同刑務所閉鎖後の建物の保存活用に関する公募を実施、同社グループの提案は「重要文化財建物に対する保全計画」「施設運営計画」「プロモーション計画」の3つで高い評価が得られたとしている。
20170530ソラーレホテルアンドリゾーツ

同社グループによる提案は、これまでの歴史や史料を保存し、次世代へ伝える史料館を中心としながら、ホテル・レストラン・カフェバー・温浴施設・商業テナントエリア等の付帯施設を併設するというもの。

ホテルは、異なる3つのスタイルで展開する。
ハビランドシステムと呼ばれる放射状に伸びた建物の配置(中央の監視台から5つの居室棟がすべて見渡せる機能的な設計)はそのままに、独房に改修を施し「文化財ホテル」として活用。
歴史的な建物の価値を残しつつもホテルの快適性を兼ね備えた宿泊施設とする。
また新たなホテルの増設棟を「そらみつ奈良(仮称)」、病監をリノベーションした簡易宿泊型ドミトリー「MUJI HOSTEL(仮称)」とし、この3つの宿泊施設を同プロジェクト付帯事業の柱としている。

同社を代表企業とするグループ各社と役割は、ソラーレホテルズアンドリゾーツ株式会社が事業全体の運営・付帯事業(ホテル・レストラン等の運営)・事業全体の広報、清水建設株式会社と日本診断設計株式会社が改修業務および付帯事業における耐震計画及び新築工事設計の検討・立案・施工、株式会社東急コミュニティーが建設設備等保守管理業務・場内および外構の清掃業務・警備業務・重要文化財に関する事項を除く植栽業務、株式会社小学館集英社プロダクションが史料館運営業務(整理・保存・展示・広報・案内業務他)、近畿日本ツーリスト株式会社が付帯事業における地域誘客交流事業の促進・訪日旅行客の誘致・団体旅行や教育旅行の誘致・MICE関連事業の誘致と運営、株式会社セイタロウデザインが改修業務及び付帯事業における企画設計とデザイン監修・付帯事業における企画とデザイン設計・地域誘客交流事業の促進・プロモーションの企画設計と運営、JAC国際エナジー株式会社が一部付帯事業の運営。

(仮称)HISTERRACE奈良プロジェクトの所在地は奈良県奈良市般若寺町18。
全ての外観を保持しながら、当初から使われている部材は最大限保持しつつ工事を進め、2019年秋には史料館の開館、2020年度中にはホテルを含む全施設の開業を目指す。