【ニュース】 芝浦工業大学と安全索道、上屋が膜素材でできたスキー場リフトのターミナルを製品化、デザイン性と耐久性を両立 滋賀県守山市

2016.11.15
芝浦工業大学(東京都港区、村上雅人学長)デザイン工学科の谷口大造教授と横山太郎特任准教授らは、安全索道株式会社(滋賀県守山市、西川正樹社長)と共同で、上屋が膜素材でできたスキー場リフトのターミナルを新たにデザイン、このほど「コクーン(Cocoon)」として製品化した。

膜素材とは、ガラス繊維に四フッ化エチレン樹脂をコーティングしたものなど、耐久性や防汚性に加え、難燃性にも優れた素材。
膜素材をターミナルの上屋として使用することは、日本で例がないものの(同大学調べ)、雪かきなどの手間がいらず、素材自体も従来の鉄製より高耐久で、膜の透過性を活かした光演出も可能といった、画期的な性能を持つとしている。

両者は、基本計画からデザインの改良を重ね、価格面でも従来品より安価にすることができたことから、製品化を決定した。
現在、スキー場への設置に向け、営業を行っているという。
20161115芝浦工業大学

両者は2015年7月に連携を開始後、谷口教授が8月に学生と共にスキー場を巡り、視察とヒアリングを実施。
その結果、従来のターミナルは上屋が鉄製で上部が平らなため雪下ろしの手間がかかること、10年も使用すると鉄が錆びて見た目が悪くなるなどの問題点に加え、夏や夜間の稼働率を上げることがスキー場の課題であることなどが分かった。

谷口教授は、かねてより膜素材を台湾の屋外ステージのコンペで提案するなど、その特性を理解していたため、従来製品の問題点解決に加え、膜の透過性を活かしてターミナルにライティング効果を持たせることで、光のアートや天候情報の発信といった新たな付加価値の創出を考案したという。

その後、学生と共に膜素材によるデザイン案を形にし、横山特任准教授が構造解析することで材質の寸法や配置など細部を詰め、11月中旬に基本計画を安全索道に提出。
製品化にあたっては、ライティング効果を重視した骨格では従来品よりコスト増となったが、改良を重ね強度を維持しつつ簡素化することでコスト削減ができ、照明効果は維持されたまま、製品化決定に至ったとしている。