【ニュース】 近畿日本鉄道、フリーゲージトレインの実用化に向け開発を推進、京都駅からレール幅の異なる吉野線へ直通運転 奈良県吉野町

2018.05.16
近畿日本鉄道株式会社(大阪市天王寺区、和田林道宜社長)は5月15日、フリーゲージトレインの実用化に向け開発を進めると発表した。
フリーゲージトレイン(軌間可変電車)とは、標準軌(1,435mm)と狭軌(1,067mm)など、異なる軌間(ゲージ)を直通運転できるよう、車輪の左右間隔を軌間に合わせて自動的に変換する車両(国土交通省資料より)。

同社では、6月22日付の役員異動にあわせ、同社総合研究所にフリーゲージトレイン開発推進担当役員を就任させる予定。
今後、国土交通省とも相談のうえ、他の鉄道事業者や鉄道車両メーカーなどとともに、フリーゲージトレインの実用化に向けた検討を進めていくという。

同社はこれまでも、東海道新幹線の開通を契機に、新幹線の接続駅となる京都・名古屋から奈良や伊勢志摩などの観光地に向かう特急ネットワークを構築。
一方同社では、その歴史的経緯から軌間の異なる路線を抱え、特急ネットワークでも乗り換えを必要とする場合があった。

フリーゲージトレインの検討対象となる路線は京都駅から吉野線。
吉野線は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」にある吉野山や飛鳥などの観光地を抱えており、大阪市内の南大阪線「大阪阿部野橋」駅から吉野駅まで観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」をはじめ、特急列車などを直通運転させている。

新幹線との接続駅となる京都駅から吉野線を利用するには、途中、レールの幅が変わるため、「橿原神宮前」駅での乗り換えを必要としていた。
橿原神宮前駅での京都線・橿原線(標準軌1,435mm)から吉野線(狭軌1,067mm)への直通運転については、以前から様々な解決方法(軌間の統一、三線軌条など)を模索してきたという。
フリーゲージトレインが実用化すれば、京都駅から京都線・橿原線を経由し、橿原神宮前駅からレール幅の異なる吉野線を経て、吉野駅まで直通運転することが可能となる。