【編集部取材】 橋詰直道駒沢大学教授、比較住宅都市研究会で別荘地の定住化と高齢化の進展に伴う諸問題について発表 東京都渋谷区

2016.04.25
駒沢大学文学部地理学科の橋詰直道教授は4月22日、東京都渋谷区の八雲クラブで開催された比較住宅都市研究会(主宰:海老塚良吉氏)で、別荘地の定住化と高齢化の進展に伴う諸問題について発表を行った。

今回、橋詰教授が事例調査の対象とした別荘地は、ミレーニア勝浦(千葉県勝浦市)・御宿西武グリーンタウン(千葉県御宿町)・フィオーレ喜連川(栃木県さくら市)・びゅうフォレスト喜連川(栃木県さくら市)・南箱根ダイヤランド(静岡県函南町)。
同調査では、土地利用図や統計調査を利用した分析のほか、現地でアンケートとインタビューを実施、「終の棲家」としての存続条件などを検証した。
20160425比較住宅都市研究会

同発表によると、対象別荘地では、主に東京大都市圏から「退職移動」した富裕層を中心とした住民で構成され、30~50%の「超高齢化」が進行。
定住者の7割は前住居を売却・転入しており、別荘地が「住み替え双六」の上がりの選択肢の一つとなっている。
その選択は、第二の人生を自然の中で趣味を満喫しながらスローライフを送るための「アメニティ移動」が中心。
「趣味の縁」でゆるく結ばれたコミュニティを形成しつつも、交通や買い物不便さや将来の不安を抱えている側面もあるという。

参加者からの質疑応答では、民間ディベロッパーが開発した別荘地故に、地元自治体の行政サービスが一部受けられないといった問題や、集合住宅とは異なり、管理組合が存在せず、別荘管理会社の質が問われるといった問題なども指摘された。
また、別荘の場合、一般の住宅とは異なり、そもそも常住している層が少ないことから、「空き家」の存在を確認することは難しいものの、民泊などへの活用の余地があることや、エリアマネージメントの視点、コミュニティファンドの活用といった視点からの意見も交わされた。