【ニュース】 横浜市立大学など、日本の「へき地」と都市部における医療の質の格差論文や報告書を網羅的に収集し、現状と課題を整理 神奈川県横浜市

2025.05.16
横浜市立大学大学院データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻の金子惇准教授らの研究グループは、日本の「へき地」と都市部における医療の質の格差について、これまでに発表された論文や報告書を網羅的に収集し、現状と課題を整理した。

同研究は、カナダWestern大学のMaria Mathews教授や島根県雲南市立病院の太田龍一医師との共同研究。
同研究成果は、国際学術誌「BMC Health Services Research」に掲載されている(2025年5月9日オンライン)。

日本には約6,800の島々があり、人口の約9%が過疎地域に居住している。

同研究では、2006年以降に発表された論文5,020件から、「へき地」と都市部の医療格差に関する国内の研究を整理し、15件の研究を分析。
医療の質の3つの要素である構造(人口当たりの医師数など)・過程(治療実施率など)・結果(死亡率など)を「へき地」と都市部で比較したところ、「へき地」の方が比較的質が劣るという研究が多く見られたが、医師の診療の幅が広いなど、へき地の方が質が高い傾向を示す研究もあったとしている。

また、多くの研究が病院を対象としており、診療所などのプライマリ・ケア(身近にあって、何でも相談にのってくれる総合的な医療)に関し、「へき地」と都市部の医療の質を比較したものは殆ど無かったという。
さらに、「へき地」と都市部の指標が研究ごとに異なり、比較が難しいという課題も判明した。