【ニュース】 大和ハウス工業、工場・倉庫内での熱中症を防ぐ遮熱屋根材「低放射折板屋根」を本格運用、放射熱を80%以上抑制可能 大阪府大阪市

2023.01.06
大和ハウス工業株式会社(大阪市北区、芳井敬一社長)は、室内の暑さの原因となる屋根の放射熱を一般的な折板屋根と比較して
80%以上抑制する「低放射折板屋根」を開発、2023年1月より本格運用する。

猛暑日が年々増加する中で、工場や倉庫などでは、労働災害防止の観点から、従業員の熱中症対策が課題になっているという。
工場や倉庫の多くに採用される折板屋根は、軽量で一定の強度を持つ一方、日射により高温化しやすく、強い放射熱によって室内を暑くするため、室内作業中の従業員などが熱中症を引き起こす恐れがある。

こうした中、同社は一般的な折板屋根と比較して放射熱を80%以上抑制し、室内の暑さを緩和する「低放射折板屋根」を日鉄鋼板株式会社(東京都中央区、飯島敦社長)・ニチアス株式会社(東京都中央区、亀津克己社長)の技術協力により開発。
空調設備を導入しない新築の工場や倉庫などを対象に、2019年3月から一部エリア(関東・中部・関西圏)で先行採用していたが、2023年1月からは36都府県で本格運用を開始する。

同商品は、折板屋根の下面に低放射裏貼材を接着することで放射熱を抑えることができる屋根材。
アルミ系遮熱シートとガラス繊維系断熱材を組み合わせた独自の低放射裏貼材が、日射で高温になった屋根の放射熱を抑え、一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制するとしている。
2018年6月と2018年8月に実施した実証実験では、暑さに対する効果検証を行うため、同一建物に「低放射折板屋根」と一般的な折板屋根を採用した結果、「低放射折板屋根」を採用した室内の体感温度は、一般的な折板屋根の室内と比較して3℃低減できることを確認したという。

また同商品は、一般的な折板屋根と同等の高い施工性を維持しつつ、暑さの軽減効果を高めることも可能。
室内での熱中症対策として採用される二重断熱折板屋根や遮熱シートは、一般的な折板屋根と比べ部材や施工工程が多くなり、その分費用が増加するが、同商品は屋根材となる鋼板と低放射裏貼材を接着した状態で工事現場に搬入、一般的な折板屋根と同様の工程で施工できるため、導入コストの抑制を実現できるという。
二重断熱折板屋根と比較すると、暑さの軽減効果は同等でありながら、導入費用を7割程度に抑えることができるとしている。