【ニュース】 立教大学観光学部とJTB総合研究所、「観光産業におけるSDGsの取り組み推進に向けた組織・企業団体の状況調査」の調査結果を発表 埼玉県新座市
2021.06.09
立教大学観光学部(埼玉県新座市、小野良平学部長)の野田健太郎教授と株式会社JTB総合研究所(東京都品川区、野澤肇社長)はこのほど、「観光産業におけるSDGsの取り組み推進に向けた組織・企業団体の状況調査」の調査結果を発表した。
同調査は、帝国データバンクが保有するデータベースから無作為に抽出した全国の企業と関連団体(観光産業を含む全業種)に対し、郵送とオンラインで実施したもの。
合計840件の回答を得た。
回答企業840社を従業員数でみると、100人以下が579社と
68.9%を占める。
業種別では、旅行業が162社(19.3%)・宿泊業が30社
(3.6%)の合計192社(22.9%)で、同調査では旅行業と宿泊業を「観光産業」と総称している。
同調査結果(全業種)によると、従業員数1,001人以上の企業では91.7%がSDGsに取り組んでいる一方、従業員数100人未満では
SDGsに取り組む企業の割合は2割前後。
業種別では、最も低かったのは観光産業(20.3%)で、特に旅行業は最も低い結果(6.0%)となった。
回答した旅行業の企業は76.5%が従業員数10人以下で、SDGsへの取り組みに十分なリソースを割けない可能性があるとしている。
SDGsに取り組む効果については、全業種では「従業員の意識の向上」が55.8%と最も高く、「ブランド力の向上(34.9%)」「経営方針の明確化(28.6%)」が続いた。
観光産業の上位3位は、回答率が若干低いものの、全業種と同じ結果だった一方、「売上の増加」「収益の増加」「取引先の増加」については、全業種より大幅に高い結果となり、営業活動への効果を期待していることが伺える。
観光産業は取り組み率が低いにも関わらず、過度にビジネス効果への期待が高いか、ビジネス効果への期待がなければ積極的に向き合わないとも受け取ることができるという。
また、観光産業がSDGsに取り組む上での課題は、「必要な人材が不足している」「運用する時間的な余裕がない」「必要な予算が確保できない」が全業種より高くなっているほか、期待する支援策は「SDGsに取り組む際に利用できる補助金」が69.2%と最も割合が高く、「SDGsに取り組んだ企業に対する認証、認定」「SDGsをテーマにした地域との連携」がいずれも61.5%で、「SDGsをテーマにしたビジネスマッチング(56.4%)」「SDGsを活用したビジネス策定の支援(46.2%)」がこれに続いている。