【ニュース】 錦江町など官民3者、「森林に関する包括連携協定」を締結、伐採跡地の再造林率100%を目指す 鹿児島県錦江町

2025.10.02
鹿児島県錦江町(きんこうちょう、新田敏郎町長)、大隅森林組合(鹿児島県鹿屋市、下清水久男組合長)、日本森林アセット株式会社(東京都新宿区、石村藤夫社長)の3者は2025年10月1日、「森林に関する包括連携協定」を締結した。
行政、林業事業体、森林経営を専門とする民間企業の3者が連携し、伐採跡地の再造林率100%を目指す。

同取り組みでは、再造林が進んでいない伐採跡地を住友林業株式会社(東京都新宿区、光吉敏郎社長)傘下の日本森林アセットが購入。
同町が再造林促進のために費用の一部を助成し、同森林組合が再造林する。
日本森林アセットは、再造林した森林からJ-クレジットを創出し、その販売収益を再造林費に充当。
環境保全・地域経済・防災など多面的機能を持つ豊かな森林を将来世代に引き継ぐため、林業従事者の育成や雇用の創出等にも取り組むという。

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同町は人口5,948人で、鹿児島県大隅半島西部に位置。
町の面積の約76%を森林が占め、その多くが利用期を迎えている反面、令和6年度の再造林率は約35%と管理不十分な森林が増えている。
森林は、二酸化炭素の吸収・炭素の固定、水源かん養、国土保全、生物多様性の確保などの多面的機能を持っており、これらの機能が持続的に発揮されるよう、再造林を通じた森林整備が重要だという。
こうした中、同町は2023年6月に「錦江町森林の整備保全に関する条例」を施行、森林所有者の管理責務と森林取引の事前届出制度を定めるなど、放置林の増加を防ぐ取り組みを進めてきた。

一方、国土交通省の調査によると、約58%の森林所有者が維持管理の経済的負担や後継者不足などを理由に所有権を手放したい意向を示している。
鹿児島県は民有林の造林面積が北海道、宮崎県に次いで全国第3位でありながら、同町でも全国的な傾向と同様に再造林が計画的に進まない森林が拡大しているという。

こうした課題に対し、住友林業と三井住友信託銀行株式会社(東京都千代田区、大山一也社長)の共同出資により2024年1月に設立した日本森林アセットは、森林を売却したい個人や法人から伐採跡地を購入し、2030年までに3,000haを目標に再造林を進めている。
住友林業の森林経営の知見と三井住友信託銀行の金融支援により、個人所有林の集約化や再造林の初期費用負担など、従来の事業者では対応が難しかった課題にも継続的に取り組めるという。