【ニュース】 日建設計と住友林業、木質梁とRC床版を組み合わせた合成梁構法を共同開発、中大規模木造建築の普及を推進 東京都千代田区
2022.05.30
株式会社日建設計(東京都千代田区、大松敦社長)と住友林業株式会社(東京都千代田区、光吉敏郎社長)は、のこぎり状に凹凸をつけた木質梁とRC床版(鉄筋コンクリ―トを使用した床版)を組み合わせた合成梁構法を共同開発した。
同構法は、木とコンクリートの圧縮強度が近いという特性を活かし、両者を強固に接合しロングスパンを実現する構法。
梁せい(梁の高さ)を抑えられるため、建物の階数増加にもつながり、オフィスや学校、病院など中大規模木造建築の普及を推進するという。
木材は軽くて強く、身近な建築用材として広く使用されている素材。
中大規模建築を木造化する場合の課題は、床に用いると振動が伝わりやすく居住性に影響があること、強度を担保するためには木材の断面を大きくする必要があり、空間を圧迫してしまうこと等だという。
これらの課題を解決するため、両社はプロジェクトチームを2016年に立ち上げ、綿密な実験・検証を実施。
その結果、木質梁そのものに凹凸をつけRC床版とつなげる「のこぎり形接合」による同構法が完成した。
同構法では、RC床版が木造梁の剛性を高めるため揺れにくく、鉄骨造とコンクリートスラブによる床と比べても遜色のない揺れにくい床を実現。
梁の長さは、従来の梁に比べ倍の約12mのロングスパンを実現できるようになり、大きな床面積の中大規模建築にも対応可能になったという。
また、梁せいが非合成梁の場合、通常120cm程度なのに対し、90cmと約4分の3にでき、高層化の際には階高を抑え階数を増やす増床にもつながるとしている。
梁せいの高さを抑えることは、耐火被覆面積の削減、建物全体の高さの抑制となり、建築費の削減が可能。
集成材、LVL等が使用でき、木材の樹種の制約も少なく、汎用性も高いことから、非住宅の中大規模木造建築の促進に寄与するという。