【ニュース】 お遍路文化1200年の歴史に今も出合える場所のお接待処・旧遍路宿「坂本屋」の改修作業が完了、6月8日にお披露目会を開催 愛媛県松山市

2018.06.11
旧遍路宿「坂本屋」(愛媛県松山市)は、昨年11月より実施していた外観整備やトイレの改修工事を完了、6月8日にお披露目会を開催した。
運営は坂本屋運営委員会(会員はボランティア)。

旧遍路宿「坂本屋」は、四国霊場第45番札所の岩屋寺から46番浄瑠璃寺へ向かう約30kmの道中に開けた、米どころ・窪野町にある「お接待処」(お遍路さんのために開放されている無料の休憩所)。
歩き遍路の難所「三坂峠」を越えた場所にあり、お遍路さんにとってはほっと一息つく憩いの場となっている。

木造2階建ての建物は、明治末期から大正初期に建てられたもの。
当初は遍路宿を営み、坂本屋の周辺にも数軒の遍路宿があり、多くのお遍路さんを迎えていたが、戦後歩き遍路が減ったこともあって、次々と宿は閉鎖され、坂本屋も長らく廃屋となっていた。

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こうした中、遍路文化を伝える地域遺産として保存しようと、平成16年に地元有志によって「坂本屋運営委員会」が設立、同年春に「お接待処」として息を吹き返した。
それから15年余り、地域住民を中心とする会員が3~11月の土日に交代制で歩き遍路へのおもてなしを行い続け、お遍路さんと地域、会員の交流の場として、大切に受け継がれている。

坂本屋は、運営委員会の会員がボランティアで運営。
世代は30代~80代までと幅広く、約30人が5~6人の班に分かれて、交替でお遍路さんを迎えている。
お遍路さんは1日に5~10人、多い時には30人ほどが一休みする。

近年では、外国人遍路も増加しているため、一部会員は英会話のレッスンも受け、過去にはお遍路さんの姿をした外国人講師を招き、「どこの国からお見えですか」「お茶でもいかがですか」「ここは無料の休憩所です」「どうぞお入りください」などと実践的な英会話講習を実施したこともある。
「国籍など関係なく、全てのお遍路さんをサポートしたい」という会員の熱意は非常に強く、そのおもてなしは、四国88カ所の道中でも、お遍路さんたちの心に残るお接待処の一つとなっているという。

会員のうちの一人、船田トシ子さん(80歳)は、坂本屋の看板おばあちゃんとして有名。
トシちゃんの愛称で親しまれており、訪れる人々を日々癒している。
幼いころから家族がお遍路さんにお接待をしていたのを見ていたトシ子さんは、自然とそのしぐさが身につき、「少し休んでおゆきなさい」「おあがりなさい」などと優しく語りかけ、温かいお茶やみかんでもてなしている姿は、誰しもを懐かしい感情にし、一度会ったら忘れられない存在となっているという。

旧遍路宿「坂本屋」の所在地は愛媛県松山市窪野町甲2146番地、交通は松山空港から車で約45分。
お接待日は毎年3月~11月の土曜日と日曜日(12月~2月はお接待お休み)、時間は9時~15時。
電話は無し。
駐車場は坂本屋正面に4~5台あり。
運営は坂本屋運営委員会。
問い合わせは松山市シティプロモーション推進課まで。