【ニュース】 長良川鉄道とヤマト運輸、「客貨混載」の本格運用を開始、全国で初めて、ヤマト運輸の社員が同乗せず無人で宅急便を混載 岐阜県関市

2018.02.22
長良川鉄道株式会社(岐阜県関市、日置敏明社長)とヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社(東京都中央区、長尾裕社長)は2月21日、関駅(岐阜県関市)と美並苅安駅(岐阜県郡上市)の区間で、全国で初めて、鉄道にヤマト運輸の社員が同乗せず無人で乗客と宅急便を混載する「客貨混載」を開始した。

長良川鉄道とヤマト運輸は2017年11月、関駅と美並苅安の区間で、鉄道を利用して乗客と宅急便を混載して運ぶ「客貨混載」の実証実験を実施。
セールスドライバーの労働環境改善や環境負荷軽減などの効果検証、乗客と貨物を混載する際の安全性の確保といった課題への検討を実施した。

実証実験の結果、セールスドライバーの1日の走行距離が約24km削減し、運転時間の削減や夜間の業務の圧縮により、1日あたり約2時間の時間削減効果が得られ、CO2の排出量を抑えることで環境負荷の軽減にも一定の効果が見られたという。
また、乗客がいる状態であっても、作業の安全性を十分に確保することができたことから、両社は2月21日より、関駅と美並苅安駅間で、本格的な運用を開始した。

同取組みでは、ヤマト運輸岐阜ベース(岐阜県関市)から郡上支店(岐阜県郡上市)間で、宅急便の幹線輸送の一部を長良川鉄道の列車で輸送する。
利用する区間・列車は、関駅13時16分発・美並苅安駅13時55分着(片道のみ)。

輸送の流れは、ヤマト運輸岐阜ベースから関駅まで荷物を輸送、関駅で駅係員が列車に宅急便を積載。
列車が関駅を発車(13時16分)し、美並苅安駅まで客貨混載で輸送、列車が美並苅安駅に到着(13時55分)し、ヤマト運輸セールスドライバーに荷物を引渡す。
ヤマト運輸セールスドライバーが集配車両に荷物を積載し、郡上市美並町の各戸へ配達する。

これにより、鉄道路線網が安定的に維持されることで、地域の生活基盤の維持・向上につながるほか、ヤマト運輸のセールスドライバーが集配地域に滞在できる時間が増えるため、当日発送の集荷締め切り時間延長されるなど、宅急便のサービスも向上する。
また、移動時間が大幅に(約2時間)削減でき、集配効率が向上し休憩時間が取りやすくなるなど、働く環境の改善が見込まれるほか、1日あたりのトラックの走行距離を約24km削減し、燃料費やCO2排出量の削減にも繋がるとしている。

一方、長良川鉄道も、車両内の空きスペースで宅急便を輸送することにより、新たな収入源を確保することができるという。