【ニュース】 奈良県など4者、路線バス・コミュニティバスで宅急便を輸送する「客貨混載」を県内で初めて実施、バスの生産性向上と物流の効率化を推進 奈良県宇陀市

2017.09.26
奈良県(荒井正吾知事)・宇陀地域公共交通活性化協議会(会長:竹内幹郎宇陀市長)・奈良交通株式会社(奈良県奈良市、植田良壽社長)・ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社(東京都中央区、長尾裕社長)は、路線バス・コミュニティバスで宅急便を輸送する「客貨混載」を奈良県で初めて実施する。
過疎化や高齢化が進む中山間地域等でのバスの生産性向上と、物流の効率化による地域住民の生活サービス向上が目的。

同事業は、10月1日から2018年3月31日まで6ヵ月間、奈良県内の2つの地域(天川地区・奥宇陀地区)で社会実験として行うもの。
天川地区については奈良県の予算事業「公共交通基本計画推進事業」により実施し、奥宇陀地区については奈良県の予算事業「安心して暮らせる地域公共交通確保事業」を活用、宇陀地域協議会が実施する。

同県では、平成28年3月に「奈良県公共交通基本計画」「奈良県地域公共交通網形成計画」を策定、地域の実情に応じ、持続可能な公共交通の実現に取り組んできた。
平成28年9月に設置した宇陀地域協議会では、奈良県東部の宇陀市・曽爾村(そにむら)・御杖村(みつえむら)が連携し、国や県からの助言・支援を得ながら、地域の移動手段の維持・確保に資する取組を行っている。

奈良交通は、主に奈良県全域と京都府南部地域で運行する路線バスをはじめ、高速バス・リムジンバス・定期観光バス・貸切バス等、年間約5,370万人を運ぶ関西の大手バス会社。
同県及び沿線市町村と緊密に連携を図りながら、地域に根ざした公共交通ネットワークの維持方策に取り組んできた。

ヤマト運輸は、全国の自治体や企業と連携し、路線バスによる「客貨混載」は5都道府県で開始している。

天川地区の社会実験は、平成29年10月2日~平成30年3月30日の平日(年末年始を除く)に、大淀バスセンター14時9分発~天川川合(てんかわかわい)バス停15時14分着の奈良交通洞川線で実施。
ヤマト運輸のセールスドライバーが奈良交通吉野支社で路線バスの車内に宅急便を積み込み、天川川合バス停で担当セールスドライバーに引き渡す。

奥宇陀地区の社会実験は、平成29年10月1日~平成30年3月31日(10月8日以降の日・祝日と年末年始を除く)に、榛原(はいばら)駅13時58分発~掛西口(かけにしぐち)バス停14時47分着の宇陀地域協議会奥宇陀線「奥宇陀わくわくバス」(運行受託者:奈良交通)で実施。
ヤマト運輸のセールスドライバーが宅急便を運行受託者の奈良交通の榛原営業所でバス車内に積み込み、集配エリアの掛西口バス停で担当セールスドライバーに引き渡す。

「客貨混載」により、奈良交通と宇陀地域協議会は新たな収入源を確保でき、地域住民にとってはバス路線網の維持が期待できる。
一方、ヤマト運輸は、天川地区・奥宇陀地区担当のセールスドライバーが地区に滞在できる時間が増え、集配時間が延長されるほか、セールスドライバーが休憩時間をより取得しやすくなり、燃料の節約やCO2の削減にもつながるという。