【ニュース】 奈良ホテル、木造本館の耐震補強工事と客室などをリニューアル、歴史的価値を遺しながら時代に適応 奈良県奈良市

2017.03.27
奈良ホテル(奈良県奈良市、株式会社奈良ホテル、五十嵐晃社長)は、2013年11月に施行された建築物耐震改修促進法に伴い、2017年5月ごろより約3年間の工程予定で、耐震補強工事を実施する。
これに先がけ、4月中旬より一部客室などのリニューアル工事に着手する。

今回の工事では、木造本館の壁などを補強し、地震に対する構造部を強化。
これに合わせて、一部客室などのリニューアル工事、老朽設備の取り替え工事も実施する予定。
なお、工事は分割して行うため、一部営業は休止しながらも、工事施工箇所以外のエリアは利用出来るという。

本館は東京駅駅舎などを手掛けた建築家・辰野金吾氏の設計のもと、
1909年「関西の迎賓館」として開業し、以来107年を経過し、近代化産業遺産にも指定されている。

この歴史ある建物の耐震補強工事であるため、耐震強度を備えたより安全・安心な施設とすることを基本目標としつつ、ホテルの文化的価値を損なわず、既存の空間に違和感を与えないように補強することに充分な配慮をして進めていく。
このため、補強設備を外部には設けず、壁面内部に強度の強い木製の補強壁を埋め込むことを中心として充分な耐震性能を確保する。

また、この機会に、本館客室の一部は、木造ならではの温もりを感じる
「歴史を積み重ねてきた、ここにしかない心地よさ」を承継しつつ、シンプルながらも機能性や快適性を向上させた客室へとリニューアル。
具体的には、一部客室の狭いバスルームに現代風ユニットバスを導入するほか、1階に3室ある和室は多様化する利用客に対応するため洋風のデラックスツインルーム3室として、優しいゆとりあるスペースを持った部屋とする。

ホテルの象徴となっている洋風の暖炉(マントルピース)については、内側のレンガ煙突部分は耐震対策上撤去するものの、従来通りオブジェとして保存。
また、大正期より使用してきたスチーム暖房は老朽化により廃止し、電気ヒーターに置き換えていくが、ラジエーターはオブジェとして保存し、クラシックな空間の趣を残すことにしたという。