【ニュース】 電通、ヒューマンアカデミー・東京外国語大学との産学連携で「やさしい日本語ツーリズム研究会」を発足、日本語を話したい外国人観光客を「やさしい日本語」でおもてなし 福岡県柳川市
2016.08.19
株式会社電通(東京都港区、石井直社長)は、日本語教師養成講座ほか教育事業を運営するヒューマンアカデミー株式会社(東京都新宿区、新井孝高代表)・東京外国語大学の荒川洋平教授と共同で、産学連携の「やさしい日本語ツーリズム研究会」を8月18日付で発足した。
「やさしい日本語」とは、日本語を学ぶ外国人に対して、語彙を制限して分かりやすく表現する技術のことで、外国人に日本語を教える「日本語教師」の基本スキルの一つ。
これまでも国内に住む外国人を対象にした防災・減災対応や公文書の書き換え領域では研究・実践が行われてきたが、今回の研究会では、これを観光分野でのコミュニケーションに転用し、自治体や観光・商業施設などに向けた、新しい訪日観光客対応の提言活動を行っていくとしている。
同研究会発足の背景には、政府が推進する「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で、福岡県柳川市が推進する「日本語ツーリズム」が交付金対象事業になったことがある。
同市によると、地方への観光客は日本語学習熱の高い台湾・香港・韓国からのリピーターが多く、旅行グループのうち1人は日本語を話せる人がいると期待できるという。
同市では、特に熱心な日本語学習者の多い台湾に注目し、日本語を話す台湾人観光客に日本語でたくさん話してもらう「日本語ツーリズム」を推進していく方針を掲げている。
同研究会では、産学連携でこの「柳川方式」を側面支援し、他の自治体にその動きを広げる活動を推進していくという。
なお同研究会は、「やさしい日本語部会」と「日本語ツーリズム部会」で構成。
研究会全体の座長および「やさしい日本語部会」の座長には、著書「とりあえず日本語で」などを通して外国人への日本語での対応を提唱してきた東京外国語大学の荒川洋平教授を、また「日本語ツーリズム部会」の座長には、訪日観光客と現地の人が会話をする「ツーリスト・トーク」研究の第一人者である東海大学の加藤好崇教授を迎え、口頭での「日本語によるおもてなし」の意義と実践のあり方などを提言していく。
これまでは「日本人が英語で話す」というのが通例だったが、同研究会を通じ、地方の観光従事者や市民が「やさしい日本語」でおもてなしに参加できる機会の創造を目指す。
また、観光分野での新たな雇用促進、生きがいの創出をはじめ、多方面でその重要性が高まっているボランティア対応についても、「やさしい日本語」という選択肢を入れることで、多数の日本人がおもてなしに参画できる社会づくりに貢献できればと計画している。
問い合わせは、やさしい日本語ツーリズム研究会事務局(株式会社電通内)まで。