【編集部取材】 The Ryokan Tokyo、訪日外国人旅行者向けエンタメ旅館の1号店「The Ryokan Tokyo YUGAWARA」を3月1日にオープン 神奈川県湯河原町

2016.02.22
訪日外国人旅行者をメインターゲットとしたエンタメ旅館の企画開発を手掛ける株式会社The Ryokan Tokyo(神奈川県湯河原町、小峯友和支配人)は、1棟目となる旅館「The Ryokan Tokyo YUGAWARA」
(神奈川県湯河原町、藤澤しずか女将)を3月1日グランドオープンする。
オープンに先駆け、2月19日・20日にメディア関係者向けのプレオープンイベントを実施、同館の内部を公開した。

同館が建つ場所は、JR「湯河原」駅より奥湯河原方面行きのバスで10分、川沿いの温泉街から徒歩10分ほどの高台の一画。
バス停からは心臓破りの急坂を登ることになるが、グランドオープン後は湯河原駅よりシャトルバスを1日6往復運行する予定だという。

周囲は温泉街というよりは住宅街で、ここに至る途中の坂道から下を振り返ると、眼下には川沿いに細長く連なる温泉街の家並みが広がる。
かつて企業の保養所だったというその建物は、道路からやや下った一画にあった。
20160222The Ryokan Yugawara (3)

まず驚かされるのは、そのエントランスである。
位置的には道路に背を向けた恰好となるため、沿道からその姿は見えないが、京都・伏見稲荷大社の鳥居を模したゲート(写真)が出現。
ゲート横には枯山水風の前庭があり、日本人からすると、新興宗教の教団施設のようにも見える。
一方、建物本体の外観は、かつて保養所だった施設であることが伺える、いたって大人しい風貌だ。

エントランスホールに入ると、そこには浅草雷門を模した大きな提灯、日本各地で見られる大凧が天井から吊り下がっており、ある種「デフォルメされたニッポン」がストレートに表現されていた。

客室は、保養所の雰囲気を残しつつも襖絵に北斎の富岳三十六景などが描かれた和室(個室)と、かなりゆったりとした二段ベッドのドミトリー
(相部屋)がある。
ドミトリーには大型のロッカーや共用のテーブルがあり、各ベッド内にデスクスペースが設置されている点が印象的だった。
20160222The Ryokan Yugawara (2)
しかし、「エンタメ旅館」としての本領を発揮するのは、建物よりもむしろ、訪日外国人向けに提供される様々な「コンテンツ」であろう。
館内には、様々な貸し衣装を用意したコスプレルーム(有料)のほか、書道体験スペース(写真)などを設置、新旧のニッポンを体感できる様々な仕掛けを用意した。

基本的には素泊まりの宿だが、朝食では自作のおにぎりを食べることができる「おにぎり体験」を実施。
ランチやディナーの営業も実施し、メニューにはラーメンや刺し身など、定番の日本料理を提供するという。

なお同館では、オープンに先立ち、近隣住民を招いた「お披露目」を実施しており、様々な意見が寄せられている。
近隣には居酒屋や喫茶店が無いため、同館のレストランが地域コミュニティの場となる可能性が示唆されたほか、合気道の講師を申し出る人もいるなど、訪日外国人観光客を意識した「コンテンツ」に協力する向きもあったという。

「デフォルメされたニッポン」については賛否両論あるにせよ、同館が訪日外国人観光客を迎え入れるゲートウェイとして機能し、さらには地域コミュニティの場としても根付いていくのか、注目したいところである。

「The Ryokan Tokyo YUGAWARA」の所在地は神奈川県足柄下郡湯河原町宮上742、交通はJR「湯河原」駅よりバスで10分「藤木橋」下車後徒歩10分(グランドオープン後は湯河原駅よりシャトルバスを運行予定)。