【ニュース】 ヤマト運輸と宮崎交通など、西日本初、路線バスで宅急便を輸送する「客貨混載」を開始、地域住民の生活サービス向上を実現 宮崎県西都市
2015.09.25
宮交ホールディングス傘下の宮崎交通株式会社(宮崎県宮崎市、菊池克頼社長)、ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社(東京都中央区、長尾裕社長)、宮崎県(河野俊嗣知事)、宮崎県西都市(橋田和実市長)、宮崎県西米良村(黒木定藏村長)は10月1日より、西都市と西米良村を結ぶ路線バスで宅急便を輸送する「客貨混載」を開始す
る。
開始に先立ち、9月24日に、宮崎県庁で連携協定締結式と客貨混載専用に開発した路線バスのお披露目会を行った。
近年、全国の中山間地域等で過疎化や高齢化が進む中、宮崎県の西部に位置し、山林に囲まれる西都市さいとし東米良(ひがしめら)地区と西米良村(にしめらそん)は、年々人口が減少し、高齢化率も約40%になるなど、県内でも特に過疎化や高齢化が進んでいるという。
宮崎県では、平成23年3月に制定された宮崎県中山間地域振興条例に基づく「宮崎県中山間地域振興計画」(平成23年9月策定、平成27年7月改定)により、中山間地域の課題解決や活性化に向け、住民の安
全・安心な暮らしの確保などに取り組んでいる。
宮崎交通は、宮崎県のほぼ全域をカバーするバス路線網を保持し、年間約1,000万人を運ぶ県内最大手のバス会社として、自治体や地域企業と緊密に連携を図りながら、効率的で持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けて取り組んでいる。
一方、ヤマト運輸は、全国の自治体や企業と連携し、「見守り支援」や
「買い物支援」などのサービスを提供する「プロジェクトG
(Government)」を推進してきた。
今回開始する「客貨混載」は、宮崎交通とヤマト運輸、宮崎県、西都市及び、西米良村は相互連携を図り、バス路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を開始するもの。
同取り組みでは、座席の一部を荷台スペースにした車両を開発、西都市と西米良村を結ぶ路線バスで宅急便を輸送する。
配達は西都市発・西米良村行きの路線バスで輸送し、集荷は西米良村発・西都市行きの路線バスで輸送。
座席の一部を荷台スペースにした車両の開発では、路線バスに一定量の宅急便を積載できるよう、車両中央部の座席を一部減らし、荷台スペースを確保したほか、客貨混載専用の路線バスと分かるように「ヒト・ものハコぶエコロジーバス」と銘打ったラッピングを施した。
これまでヤマト運輸は、西都市東米良地区と西米良村の利用客に宅急便を配達する際、西都市にある西都宅急便センターから約50kmの道のりを約1時間半かけて集配車両で輸送していた。
また、両地域の利用客から集荷した荷物は、西都宅急便センターに輸送するため、当日発送の集荷締め切り時間は15時ごろとなっていた。
ヤマト運輸は、西都市東米良地区と西米良村を担当するセールスドライバー(SD)が、西都宅急便センターに戻る必要がなくなるため、両地域に滞在する時間が増え、当日発送の集荷締め切り時間が17時まで延長できるほか、走行距離の削減につながり、CO2排出量が低減する。
一方宮崎交通は、路線バスの空きスペースで宅急便を輸送することで、バス路線の生産性が向上し、バス路線網の維持につながる新たな収入源を確保することができるとしている。